Pythonでヒストグラムを作成し分布を確認

プログラミング

“`html

Pythonにおけるヒストグラム作成と分布確認

ヒストグラムとは

ヒストグラムは、データセットの数値分布を視覚化するための強力なツールです。
データを一定の間隔(ビン)に分割し、各ビンに属するデータ点の数を棒グラフとして表示します。
これにより、データの集中度、ばらつき、形状、外れ値の有無などを直感的に把握することができます。
特に、連続的な数値データの性質を理解する上で不可欠な可視化手法と言えます。

Pythonでのヒストグラム作成:主要ライブラリ

Pythonでヒストグラムを作成するには、主に以下のライブラリが利用されます。

Matplotlib

Matplotlibは、Pythonで最も広く利用されているグラフ描画ライブラリの一つです。
その柔軟性と豊富な機能により、多様なグラフを簡単に作成できます。
ヒストグラム作成には、`matplotlib.pyplot.hist()` 関数が用いられます。
この関数は、データ配列、ビンの数や境界、色、ラベルなど、様々なパラメータをカスタマイズするオプションを提供します。

Seaborn

Seabornは、Matplotlibを基盤とした、より美しく統計的なグラフを作成するためのライブラリです。
Matplotlibよりも洗練されたデザインのグラフを少ないコードで実現できます。
Seabornの`seaborn.histplot()` 関数は、ヒストグラム作成において非常に強力な機能を持っています。
カーネル密度推定(KDE)を重ねて表示する機能や、カテゴリ変数による色分けなど、より深い分析を支援する機能が充実しています。

Pandas

Pandasは、データ分析のための必須ライブラリであり、データフレーム構造を提供します。
PandasのSeriesやDataFrameオブジェクトは、直接`plot()` メソッドを呼び出すことで、簡単にヒストグラムを含む様々なグラフを生成できます。
Pandasの`hist()` メソッドは、内部的にMatplotlibを利用しているため、Matplotlibのカスタマイズ性も引き継いでいます。

ヒストグラム作成の基本的な手順

Pythonでヒストグラムを作成する一般的な手順は以下の通りです。

  1. データの準備:
    分析対象となる数値データをPythonのリスト、NumPy配列、またはPandasのSeries/DataFrameとして用意します。
  2. ライブラリのインポート:
    `matplotlib.pyplot`、`seaborn`、またはPandasといった必要なライブラリをインポートします。
  3. ヒストグラムの描画:
    選択したライブラリのヒストグラム描画関数(例: `plt.hist()`, `sns.histplot()`, `df.hist()`)を呼び出し、データを渡します。
  4. カスタマイズ:
    必要に応じて、ビンの数、範囲、色、タイトル、軸ラベルなどを設定し、グラフを見やすく調整します。
  5. 表示:
    `plt.show()` 関数などでグラフを表示します。

ビンの設定:分布の解釈に影響

ヒストグラムの解釈において、ビンの数(または幅)は非常に重要な要素です。
ビンの数が少なすぎると、データの詳細な分布形状が見えにくくなり、多くしすぎると、ノイズが目立ちすぎてしまう可能性があります。

  • ビンの数:
    `bins` パラメータで整数を指定すると、その数だけビンが自動的に分割されます。
  • ビンの境界:
    `bins` パラメータにリストを指定することで、各ビンの境界を明示的に定義できます。これにより、特定の区間に焦点を当てた分析が可能になります。
  • 経験則:
    スタージェスの公式($k = 1 + 3.322 log_{10}(N)$)やスコットの選択肢(Scott’s Choice, $h = 3.5 sigma N^{-1/3}$)など、ビンの数を決定するための統計的な手法も存在しますが、多くの場合、データの性質を理解しながら試行錯誤することが最も効果的です。

分布の形状から読み取れること

ヒストグラムの形状は、データの背後にある確率分布に関する貴重な洞察を提供します。

  • 正規分布(釣鐘型):
    データが平均値の周りに左右対称に分布している状態を示します。多くの自然現象や統計的検定の前提条件となっています。
  • 歪んだ分布(Skewed Distribution):

    • 右に歪んだ(正の歪み):
      データの大部分が左側に集中し、右側に裾が長く伸びている状態。例えば、所得分布などに見られます。
    • 左に歪んだ(負の歪み):
      データの大部分が右側に集中し、左側に裾が長く伸びている状態。例えば、試験の点数で、多くの受験者が高得点を取った場合などに見られます。
  • 二峰性分布(Bimodal Distribution):
    データが2つのピークを持つ状態。これは、異なる2つのグループのデータが混在している可能性を示唆します。
  • 平坦な分布(Uniform Distribution):
    データがおおよそ均一に分布している状態。

その他の有用な機能と応用

ヒストグラムは、単に分布を確認するだけでなく、様々な分析や可視化と組み合わせて使用することで、その価値をさらに高めることができます。

カーネル密度推定 (KDE)

Seabornの`histplot()` 関数は、ヒストグラムの上にカーネル密度推定曲線を重ねて描画するオプションを提供します。
KDEは、データの滑らかな推定分布を提供し、ヒストグラムのビニングによる影響を受けにくい、より連続的な分布形状の把握を可能にします。
これにより、データのピークや形状をより正確に理解することができます。

度数と確率密度

`hist()` 関数は、デフォルトで度数(各ビンのデータ数)を棒の高さとして表示しますが、`density=True` パラメータを設定することで、確率密度を棒の高さとして表示することができます。
確率密度を表示すると、ビンの幅が異なる場合でも、分布の形状を正しく比較することが容易になります。
確率密度の総和は1になります。

カテゴリ変数との連携

Seabornなどのライブラリを使用すると、カテゴリ変数に基づいてヒストグラムを色分けしたり、複数のヒストグラムを並べて表示したりすることができます。
これにより、異なるカテゴリ間でデータの分布がどのように異なるかを比較分析することが可能になります。
例えば、製品の種類ごとに売上分布を比較する、といった分析が容易になります。

外れ値の検出

ヒストグラムの裾が極端に離れた位置に伸びている場合、それは外れ値の存在を示唆している可能性があります。
ただし、外れ値の厳密な定義や検出には、箱ひげ図(Box Plot)やZスコアなどの他の統計的手法と併用することが推奨されます。

データ型の確認

ヒストグラムは、数値データが期待通りに取得できているかの確認にも役立ちます。
例えば、本来連続値であるべきデータが離散値として観測されている場合、ヒストグラムの形状に特徴が現れることがあります。

まとめ

Pythonにおけるヒストグラム作成は、`matplotlib`、`seaborn`、`pandas`といったライブラリを用いることで、容易かつ多様な方法で実現できます。
ヒストグラムは、データの分布形状、中心傾向、ばらつき、歪み、外れ値の存在などを視覚的に把握するための基本的なツールです。
ビンの設定を適切に行い、必要に応じてKDEなどの高度な機能と組み合わせることで、データの性質をより深く理解し、洞察を得ることができます。
データ分析の初期段階において、ヒストグラムはデータの探索的データ分析(EDA)に不可欠な手法と言えるでしょう。

“`