Python `datetime` モジュール：時間の基本
Pythonにおける時間の操作は、標準ライブラリの`datetime`モジュールによって包括的にサポートされています。このモジュールは、日付、時刻、およびそれらの組み合わせを扱うための強力で柔軟な機能を提供します。プログラムで時間を正確に処理することは、ログ記録、スケジューリング、データ分析など、さまざまなタスクで不可欠です。
`datetime` モジュールの主要なクラス
`datetime`モジュールは、主に以下の4つのクラスを提供しています。
date クラス
dateクラスは、年、月、日の日付情報を表します。タイムゾーンの情報は含まれません。日付の作成、比較、および算術演算に使用されます。
from datetime import date
# 今日の日付を取得
today = date.today()
print(f"今日の日付: {today}")
# 特定の日付を作成
specific_date = date(2023, 10, 26)
print(f"特定の日付: {specific_date}")
# 年、月、日を取得
print(f"年: {specific_date.year}")
print(f"月: {specific_date.month}")
print(f"日: {specific_date.day}")
time クラス
timeクラスは、時、分、秒、マイクロ秒を表します。タイムゾーンの情報は含まれません。時刻の作成、比較、および算術演算に使用されます。
from datetime import time
# 特定の時刻を作成
specific_time = time(14, 30, 15, 500000)
print(f"特定の時刻: {specific_time}")
# 時、分、秒、マイクロ秒を取得
print(f"時: {specific_time.hour}")
print(f"分: {specific_time.minute}")
print(f"秒: {specific_time.second}")
print(f"マイクロ秒: {specific_time.microsecond}")
datetime クラス
datetimeクラスは、日付と時刻の両方の情報（年、月、日、時、分、秒、マイクロ秒）を組み合わせたものです。これは、`date`と`time`クラスの情報を併せ持っています。
from datetime import datetime
# 現在の日付と時刻を取得
now = datetime.now()
print(f"現在の日時: {now}")
# 特定の日付と時刻を作成
specific_datetime = datetime(2023, 10, 26, 14, 30, 15, 500000)
print(f"特定の日時: {specific_datetime}")
# datetimeオブジェクトからdateとtime部分を取得
print(f"日付部分: {specific_datetime.date()}")
print(f"時刻部分: {specific_datetime.time()}")
timedelta クラス
timedeltaクラスは、2つのdate、time、またはdatetimeオブジェクト間の差を表します。これにより、日付や時刻の加算・減算が可能になります。
from datetime import datetime, timedelta
# 現在の日時
now = datetime.now()
# 7日後の日時
one_week_later = now + timedelta(weeks=1)
print(f"1週間後: {one_week_later}")
# 3時間前の日時
three_hours_ago = now - timedelta(hours=3)
print(f"3時間前: {three_hours_ago}")
# 2つの日時の差
date1 = datetime(2023, 10, 20)
date2 = datetime(2023, 10, 26)
time_difference = date2 - date1
print(f"日時の差: {time_difference}")
print(f"差の日数: {time_difference.days}")
日付と時刻のフォーマット
datetimeオブジェクトを人間が読める形式の文字列に変換したり、その逆を行ったりすることは一般的です。これには、strftime()（string format time）とstrptime()（string parse time）メソッドが使用されます。
strftime()：datetimeオブジェクトから文字列へ
strftime()メソッドは、datetimeオブジェクトを指定されたフォーマット文字列に従って文字列に変換します。フォーマットコードは、年、月、日、時、分、秒などを表すための特別な記号です。
from datetime import datetime
now = datetime.now()
# ISO 8601形式でフォーマット
iso_format = now.strftime("%Y-%m-%d %H:%M:%S")
print(f"ISO 8601形式: {iso_format}")
# 別のフォーマット例
custom_format = now.strftime("%A, %B %d, %Y %I:%M:%S %p")
print(f"カスタム形式: {custom_format}")
よく使われるフォーマットコード:
%Y: 4桁の年 (例: 2023)%m: ゼロ埋めされた月 (01-12)%d: ゼロ埋めされた日 (01-31)%H: 24時間形式の時 (00-23)%I: 12時間形式の時 (01-12)%M: ゼロ埋めされた分 (00-59)%S: ゼロ埋めされた秒 (00-59)%A: 曜日のフルネーム (例: Thursday)%B: 月のフルネーム (例: October)%p: AMまたはPM
strptime()：文字列からdatetimeオブジェクトへ
strptime()関数（datetimeモジュール直下にある）は、指定されたフォーマット文字列に従って、日付と時刻を表す文字列をdatetimeオブジェクトに解析します。
from datetime import datetime
date_string = "2023-10-26 14:30:00"
format_string = "%Y-%m-%d %H:%M:%S"
datetime_object = datetime.strptime(date_string, format_string)
print(f"文字列から変換された日時: {datetime_object}")
# datetimeオブジェクトの型を確認
print(f"型: {type(datetime_object)}")
タイムゾーンの扱い
datetimeモジュールは、タイムゾーンを扱うための機能も提供しますが、デフォルトでは「naive」（タイムゾーン情報を持たない）オブジェクトを生成します。タイムゾーンを考慮するには、pytzなどの外部ライブラリを使用することが一般的ですが、Python 3.2以降ではzoneinfoモジュール（標準ライブラリ）も利用可能です。
Aware（タイムゾーン認識）とNaive（タイムゾーン非認識）
タイムゾーン情報を持つdatetimeオブジェクトを”aware”、持たないものを”naive”と呼びます。
from datetime import datetime, timezone
# Naiveなdatetimeオブジェクト
naive_dt = datetime.now()
print(f"Naiveな日時: {naive_dt}")
# UTC（協定世界時）のAwareなdatetimeオブジェクト
utc_dt = datetime.now(timezone.utc)
print(f"UTCのAwareな日時: {utc_dt}")
# 特定のタイムゾーンのAwareなdatetimeオブジェクト (zoneinfoを使用する場合)
# from zoneinfo import ZoneInfo
# tokyo_tz = ZoneInfo("Asia/Tokyo")
# tokyo_dt = datetime.now(tokyo_tz)
# print(f"東京のAwareな日時: {tokyo_dt}")
タイムゾーンを正しく扱うことは、グローバルなアプリケーションや、異なる地域間で時刻を同期する必要がある場合に特に重要です。
まとめ
`datetime`モジュールは、Pythonで日付と時刻を操作するための中心的なツールです。date、time、datetime、timedeltaといったクラスは、時間の表現、計算、フォーマット、そして（外部ライブラリと組み合わせることで）タイムゾーンの管理まで、幅広いニーズに対応します。これらの機能を理解し活用することで、より堅牢で正確な時間関連の処理を実装することが可能になります。
